研究室・教員

RNA分子医科学 (岡村研究室)

岡村教授の顔写真
教授
岡村 勝友
助教
島本 廉
Email
{ okamurak, renshimamoto }@bs.naist.jp
研究室HP
https://bsw3.naist.jp/okamura/

研究・教育の概要

私たち生物の形づくりや体質などの大部分は遺伝情報としてゲノムDNA上に書き込まれています。テクノロジーの進歩によりゲノム上にどのような遺伝子が存在しているかは、ほぼ明らかになりました。現在の大きな課題は遺伝子から作られる産物(タンパク質やRNA)がどのような遺伝子発現制御ネットワークを形成し、生命現象の制御を行なっているか明らかにすることです。私たちの研究室では特にmicroRNA (miRNA)と呼ばれる遺伝子群に注目し、遺伝子発現制御機構の解明を目指しています。多くの疾患は遺伝子発現の異常が原因となっており、遺伝子発現制御機構の解明は疾患の原因究明、治療法の開発のほか、ゲノム情報を用いた精密医療の発展にも寄与すると期待しています(図1)。

大学院教育では、古典的な生化学や遺伝学な技術に加えバイオインフォマティクス解析など最新の技術の基礎を学び、これらの技術を駆使し、さらに必要な場合には新たな技術を生み出しながら、重要な疑問に対する答えを見つけ出す能力を伸ばして行くことを目標としています。

主な研究テーマ

miRNA発現制御機構

近年の研究で、蛋白質コーディング遺伝子は転写レベルの他、転写後レベルでも発現調節を受けているがわかって来ました。miRNAの発現も同様に転写および転写後レベルで制御されているはずです(図2)。miRNAの発現異常は疾患組織で多く見られ、分子機構の理解が急がれます。私たちの研究室では健常・疾患組織でのmiRNA発現制御をゲノミクスや生化学的手法で研究し、それら分子機構の生物学的意義を細胞・個体レベルで検討します(図3)。

miRNA生合成経路の多様性

私たちの最近の研究から、典型的なmiRNA生合成経路の他にmRNAスプライシングやリボソームRNA生合成経路を用いて作られるmiRNAの存在が明らかになりました(図2)。これらの結果は、種々のRNAプロセッシング機構が意外な形で遺伝子発現制御に寄与していることを示唆しており、その分子機構の解析を行うとともに、これらの分子機構の生物学的意義を解明していきます。

小分子RNA生合成経路の進化

多様な小分子RNA生合成経路の発見の過程で、特定の生物種のみに存在する小分子RNA生合成経路も見つかりました(図2)。これらの機構は免疫機構として機能しているようです。生物種間での小分子RNA生合成経路の多様性を調べるために、私たちは種々の生物種のサンプルから小分子RNAの同定と分子機構解析を行なっています。新たな小分子RNA経路の発見とその応用により現在のCRISPRやRNA干渉法を補完するような新たな手法を開発することができるかもしれません。

図1
(図1) 遺伝子発現ネットワークとその機能の重要性
図2
(図2) miRNA生合成経路の多様性
図3
(図3) 研究手法の概要

主な発表論文・著作

  1. Goh and Okamura, Nucleic Acids Res., 47, 3101-3116, 2019
  2. Zhou and Lim et al., eLife, 7:e38389, 2018
  3. Goh and Okamura, Methods Mol Biol., 1680, 41-63, 2018
  4. Lim and Ng et al., Cell Reports, 15, 1795-1808, 2016
  5. Chak et al., RNA, 21, 375-384, 2015
  6. Chak and Okamura, Frontiers in Genetics, 5, 172, 2014
  7. Okamura et al., Genes & Dev, 27, 778-792, 2013
  8. Okamura et al., Molecular Cell., 36, 431-444, 2009
  9. Okamura et al., Nature, 453, 803-806, 2008
  10. Okamura et al., Cell, 130, 89-100, 2007